Wolfgang Tillmans(1968–)は、友人、恋人、クラブ、衣服、都市、植物、天体、紙、テレビ画面、政治キャンペーン、抽象的な光の痕跡まで、互いに異なるものを同じ視覚世界へ置いてきたドイツのアーティストです。1990年代初頭、Londonのi-Dなどで発表した若者やクィア・コミュニティの写真によって広く知られるようになりましたが、その後の仕事は肖像やスナップショットにとどまりません。大小のプリントを壁へ直接テープやピンで留める展示方法、カメラを使わない暗室作品、コピー機、映像、音楽、出版、テーブル上の資料展示、政治キャンペーンまで、写真が作られ、配置され、社会の中で読まれる条件そのものを制作へ取り込んできました。
Tillmansの作品を理解する鍵の一つは、「何か一つが重要なら、すべてが重要である」という彼の「visual democracy」の考え方です。親密な身体、靴下、雲、Concorde、AIDSをめぐる作品、天体観測、抽象写真、政治ポスターは、価値の階層をあらかじめ決めずに同じ展示空間へ置かれます。しかし無差別に並べているわけではありません。作品のサイズ、紙、額装の有無、高さ、隣接関係、空白を細かく調整し、鑑賞者が自分の視線で関係を見つける構造を作っています。2025年のCentre Pompidouでは、閉館前の旧公共情報図書館約6,000平方メートル全体を用い、写真、映像、音、テキスト、パフォーマンスを統合しました。30年以上にわたる仕事は、写真を「一枚の完成画像」から、人間が世界を見る方法そのものへ拡張する試みとして続いています。
CONTENTS
- 生涯と制作の変遷
- Remscheid――天体観測とコピー機
- Hamburg――クラブ文化と雑誌
- Bournemouth――写真教育とLondonへの移動
- 若者とクィア文化――内部から撮る
- Lutz、Alex、Suzanne――ジェンダーの境界を揺らす
- 展示――壁全体を一つの像にする
- 《Concorde》――技術への魅惑と距離
- 2000年Turner Prize――写真の展示方法が評価される
- 抽象写真――カメラなしで写真を作る
- 《paper drop》――紙が像と物質のあいだに立つ
- 《truth study center》――「真実」を並べて考える
- Wolfgang Tillmansの作品をどう見るか
- 主要作品
- AIDS、喪失、共同体
- 天文学――幼少期から続く見る技術への関心
- 《Freischwimmer》――像のない写真
- 《Sendeschluss》――ノイズと検閲
- 《Book for Architects》――建築を反復して見る
- 政治活動――EU、民主主義、LGBTQIA+の権利
- Between Bridges――展覧会から財団へ
- 音楽――写真の外にある時間を扱う
- スケール――小さなプリントと巨大画像
- 《To look without fear》――恐れずに見る
- 2025年Centre Pompidou――図書館全体を作品空間にする
- Wolfgang Tillmansは何を変えたのか
- 略年譜
- 参考資料・出典
生涯と制作の変遷
1968年、Remscheidに生まれる
Wolfgang Tillmansは1968年、当時の西ドイツのRemscheidに生まれました。幼い頃から天文学に関心を持ち、MoMAが紹介する本人の回想によれば、10歳頃には父親のカメラを望遠鏡の接眼部へ当てて天体を撮影していました。写真は最初から人間や社会を記録するだけの道具ではなく、肉眼では見えない遠いものへ近づくための技術でもありました。
1980年代には、音楽、衣服、雑誌、クラブ、コピー機など複数のメディアへ関心を広げます。この時期の経験は後の作品を理解するうえで重要です。Tillmansにとって、写真は専門的な美術ジャンルとして独立しているのではなく、音楽やファッション、印刷、科学、政治と常に接続したものとして形成されました。
Remscheid――天体観測とコピー機
10代のTillmansは、市販の写真だけでなく、新聞や雑誌の画像をコピー機で拡大する実験を行いました。コピーを繰り返すと網点、粒子、エッジが変形し、元の写真とは異なる画像になります。MoMAの研究では、1980年代半ばにはこうしたコピー機による画像をRemscheidで展示していたことが確認されています。
この経験は、後年の巨大インクジェット、写真の低解像度、テレビノイズ、コピーやファクスを利用した《Empire》などへつながります。Tillmansは高画質だけを写真の価値とせず、複製の過程で生じるズレ、劣化、拡大、ノイズも像を作る要素として扱ってきました。
Hamburg――クラブ文化と雑誌
1980年代末、TillmansはHamburgのクラブ・シーンや雑誌文化と関わり、若者、ダンサー、友人、ファッションを撮影します。Tateの資料では、1988年頃から英国のi-Dと継続的に関わったことが記されています。高級ファッション誌の完成されたモデル像とは異なり、Tillmansの写真では服と身体、友人関係、場所、音楽が分離しません。
クラブは単なる被写体ではありませんでした。1980年代末から90年代初頭のクラブ文化は、ジェンダー、セクシュアリティ、ファッション、音楽、政治を試す社会空間でもありました。Tillmans自身がその場に参加していたため、写真家が「若者文化を取材する」のではなく、自分の生活と共同体を内部から記録する関係が生まれました。
Bournemouth――写真教育とLondonへの移動
1990年から1992年まで、TillmansはBournemouth and Poole College of Art and Designで学びました。卒業後Londonへ定住し、i-Dなどへの寄稿、展覧会、出版を通して活動を広げます。写真学校で技術を習得しながらも、最終的な作品では「正しい写真」のルールを崩しました。
ピントが完全でない写真、小さなプリント、巨大なインクジェット、雑誌ページ、コピー、壁へ直接留めた紙を同じ展示に置きます。作品の価値を印画紙の高級さや額装だけで決めず、像がどのように鑑賞者へ届くかを優先しました。この態度は1990年代写真の展示方法を大きく変えることになります。
若者とクィア文化――内部から撮る
1990年代初頭のTillmansは、友人、恋人、クラブ、裸の身体、ベッド、シャワー、街路を撮影しました。《me in the shower》(1990)、《outside Planet, view》(1992)などは、生活と夜の文化が分離していない時期の作品です。
MoMAは、Tillmansが自身のアーカイブから写真を選び、私生活や友人の場面を展覧会ごとに新しい「constellation」として組み直すことを強調しています。写真は単独の記念写真としてだけ存在するのではなく、別の時期・場所の写真と隣り合うことで政治的・社会的意味を持ちます。本人が語るように、1980年代の若者文化では服、音楽、スタイル、私生活そのものが政治的な選択と結びついていました。
Lutz、Alex、Suzanne――ジェンダーの境界を揺らす
《Lutz & Alex sitting in the trees》(1992)や《Suzanne & Lutz, white dress, army skirt》(1993)は、Tillmansの初期を象徴する作品です。Lutz、Alex、Suzanneはファッションモデルとして記号化された匿名の身体ではなく、作家と関係を持つ友人です。
《Suzanne & Lutz》では、女性が白いドレス、男性が軍用布をスカートのように身につけています。Centre Pompidouは、このシリーズを1990年代の自由な若者文化や性の表現と結びつけています。男性らしさ/女性らしさを反転させる単純なメッセージではなく、衣服と姿勢によってジェンダーの記号が流動する状態を自然に写しています。
重要なのは、彼らの姿を「特殊なクィア文化」として隔離しなかったことです。Tillmansの展示では、このような人物写真が雲、道路、植物、天体、日用品と同じ壁へ置かれます。人間の身体を特別なカテゴリーへ閉じず、世界の一つの現れとして扱っています。
展示――壁全体を一つの像にする
Tillmansの最大の革新の一つは、写真の展示方法です。額装された大型写真だけでなく、家庭用の小さなC-print、インクジェット、雑誌ページ、コピーを、テープ、ピン、クリップで壁へ直接留めます。写真同士の間隔や高さは不規則に見えますが、本人が展示空間ごとに細かく調整しています。
MoMAはこの方法を「visual democracy in action」と説明しています。高価な額入り作品を中心に置き、小さな印刷物を周辺へ追いやるのではなく、異なる素材とサイズがそれぞれ別の役割を持ちます。小さな写真へ近づいて見る身体、巨大な作品から後退する身体、壁全体を見渡す身体が、一つの展覧会の中で切り替わります。
作品の組み合わせも固定されません。同じ《Lutz & Alex》が別の展覧会では異なる写真の隣に置かれ、新しい意味関係を作ります。展示は完成作品を並べる場所ではなく、画像同士の関係をその都度作り直す制作行為です。
《Concorde》――技術への魅惑と距離
1997年の《Concorde Grid》は、London上空を飛ぶ超音速旅客機Concordeを56枚の写真で構成した作品です。SFMOMAによれば、各写真は約31×22cm、全体で約160×442cmに及びます。Heathrow周辺やSouth Londonで数週間にわたり、離着陸する機体を異なる天候と位置から撮影しました。
Concordeは未来的な速度と形を象徴する一方、高価な航空券を購入できる限られた人のための交通手段でした。Tillmansは機体を英雄的に巨大撮影するのではなく、住宅地の空を日常的に横切る小さな存在として何度も撮ります。技術的ユートピア、騒音、環境問題、階級的な贅沢が、一つの航空機の反復の中に重なります。
単独の「決定的なConcorde写真」ではなく56枚を並べることも重要です。機体の形は同じでも、空の色、雲、距離、方向が毎回異なり、反復によって日常的な時間が見えてきます。
2000年Turner Prize――写真の展示方法が評価される
2000年、TillmansはTurner Prizeを受賞しました。Tateの当時の公式発表では、審査員は現代文化の多様な側面への関与、既存の美的規範への挑戦、写真の制作方法と提示方法を新しい方向へ押し広げた点を評価しています。彼は同賞を受けた最初の写真家であり、最初の非英国人でもありました。
この受賞は、単に「スナップショット風の写真」が高く評価されたという意味ではありません。一枚の傑作写真より、壁全体を編集すること、雑誌と美術館の間を移動すること、日常と抽象を同じ価値で扱うことが、現代美術の実践として認められた出来事でした。
同時期には《I don’t want to get over you》《Star Struck》など、カメラで世界を撮影することから離れた抽象的な写真も制作しています。初期の若者文化の作家という理解を意識的に拡張していきました。
抽象写真――カメラなしで写真を作る
1990年代末以降、Tillmansは暗室で印画紙へ直接光を当てたり、現像液を操作したりして、カメラを使わない抽象写真を本格的に制作しました。《Freischwimmer》《Blushes》《Silver》などのシリーズでは、被写体は存在せず、光、化学反応、印画紙そのものが像を作ります。
こうした作品は、人物やクラブを撮った写真と完全に別の方向ではありません。どちらも「世界の表面へ注意を向ける」という態度から生まれています。人物写真では皮膚、布、汗、光を見ていた視線が、暗室では光と感光材の物理反応そのものへ向かいます。
MoMAは《Freischwimmer 199》(2012)をフォトグラムの系譜に位置づけています。巨大な画面に流れる線や色は絵具の筆致のように見えますが、写真化学によって生成された像です。写真と絵画の境界を、被写体ではなく制作原理から曖昧にしました。
《paper drop》――紙が像と物質のあいだに立つ
《paper drop》シリーズでは、一枚の写真用紙や紙を曲げ、折り、光を当てて撮影します。《paper drop (window)》(2006)では、紙の滑らかな曲線と影が大きく写り、抽象的な彫刻のように見えます。
しかし被写体は「写真を載せるための紙」に近い物体です。写真の支持体になるはずの紙を撮影し、再び紙へプリントすることで、像と物質の関係が循環します。紙は透明な媒体ではなく、曲がり、光を反射し、影を作る物体であることが意識されます。
具象/抽象という区別も不安定になります。紙という具体物を写しているため完全な抽象ではありませんが、何を撮ったか知らなければ色と曲線だけの像に見えます。Tillmansが長く扱ってきた、見ることと認識することのずれが静物の中に現れます。
《truth study center》――「真実」を並べて考える
2005年から継続する《truth study center》では、テーブル上に新聞記事、科学資料、宗教的印刷物、広告、政治資料、自身の写真、コピー、文章などを組み合わせます。Tateはこの作品を、異なる「真実」の主張を並置し、鑑賞者がそれぞれの情報をどのように信じるか考えるプロジェクトとして紹介しています。
写真だけで完結しないところが重要です。報道写真は記事とともに読まれ、統計はグラフとして説得力を持ち、宗教的主張は特定の言葉と印刷形式を通じて流通します。Tillmansは情報の内容だけでなく、情報が「信頼できそうに見える」デザインや媒体にも関心を向けます。
2005年に始まった作品ですが、SNS、フェイクニュース、政治的分断が深まった2010年代以降にさらに現在性を強めました。写真家が世界を撮るだけでなく、世界についての情報がどのように組み立てられるかを展示空間で検証しています。
Wolfgang Tillmansの作品をどう見るか
まず一枚だけで完結させず、隣の写真との関係を見ることが重要です。人物の顔の隣に天体、衣服の隣に政治資料が置かれていれば、その差と共通点を鑑賞者自身が作ります。Tillmansの展示には一つの読み順がありません。
次に、サイズと紙の扱いを見ます。10cmほどの小さな写真と3mを超える巨大なインクジェットでは、同じ「写真」でも見る身体が変わります。額装の有無、クリップ、テープ、アルミへのマウントまでが作品の意味に関わります。
そして、被写体を高尚/日常、政治/私生活、具象/抽象に分けすぎないことが重要です。Tillmansはこうした分類を完全に消すのではなく、一つの空間に共存させることで、私たち自身がどんなものへ価値を与えているのかを意識させます。
主要作品
1986年のセルフポートレートから、シャワー、AIDSをめぐる小作品、Lutz/Alex/Suzanneのジェンダー表現、《Concorde Grid》、抽象写真、《paper drop》《Freischwimmer》、巨大インクジェット、《Sendeschluss》、2016年EUキャンペーンまで、Tillmansの親密さ・抽象・技術・政治・展示方法の変化が追える12点を選びました。
ラカノー(セルフ)
Lacanau (Self) / 1986 / クロモジェニック・プリント(2012年プリント) / 50.8 × 61 cm
The Museum of Modern Art, New York
10代後半のTillmans自身を撮った初期セルフポートレート。後年の展示では、友人、クラブ、天体、静物などと同じ壁面へ置かれます。自己像を特別な告白として切り離さず、自分自身も周囲の世界を構成する一つの存在として扱う初期の姿勢を示します。
シャワーの中の私
me in the shower / 1990 / クロモジェニック・プリント(2012年プリント) / 40.6 × 50.8 cm
The Museum of Modern Art, New York
Bournemouthで学んでいた時期のセルフポートレート。浴室という私的な空間と裸の身体を、劇的な演出なく日常の一場面として写しています。後の友人・恋人・クィア共同体の写真と同様、親密さを外部から観察するのではなく、写真家自身もその生活の内部にいることを示します。
AIDS、ジェネラル・アイデア
AIDS, General Idea / 1991 / クロモジェニック・プリント(2012年プリント) / 10 × 15 cm
The Museum of Modern Art, New York
General Ideaの「AIDS」イメージを撮影した小型作品。1990年代初頭のTillmansの壁面では、友人、身体、日用品、クラブの写真と政治的・社会的イメージが同じ空間へ並びました。AIDS危機が公共問題であると同時に、クィア共同体の日常と私生活に直接入り込んでいたことを示します。
木に座るルッツとアレックス
Lutz & Alex sitting in the trees / 1992 / クロモジェニック・プリント(2012年プリント) / 61 × 50.8 cm
The Museum of Modern Art, New York
Tillmansの初期を象徴するLutzとAlexの写真。1992年にはi-Dの「like brother like sister」特集にも関連する画像群として発表されました。若者、友人、ファッション、ジェンダー表現を分離せず、私生活と政治的自由が同じ文化の中に存在することを自然な身体像として示します。
スザンヌとルッツ、白いドレス、軍用スカート
Suzanne & Lutz, white dress, army skirt / 1993 / クロモジェニック・プリント / 58.3 × 38.6 cm
The Metropolitan Museum of Art, New York
白いドレスのSuzanneと、軍用布をスカートのように身につけたLutzを撮影。男女の服装を単純に交換した演出ではなく、衣服と身体によってジェンダーの記号が流動する状態を示します。1990年代のTillmansが若者文化と性の自由を内部から撮った代表作です。
コンコルド・グリッド
Concorde Grid / 1997 / クロモジェニック・プリント56点 / 各 約32.1 × 21.8 cm/全体 約159.8 × 442 cm
Hirshhorn Museum and Sculpture Garden, Smithsonian Institution, Washington, D.C.
London周辺でConcordeの離着陸を数週間撮影し、56点をグリッドにした作品。未来的な速度と形への魅惑、高価な旅客機が象徴する階級性、騒音や環境問題を、一枚の英雄的写真ではなく日常的な反復として提示します。技術とユートピアへのTillmansの複雑な関心を示します。
あなたを忘れたくない
I don't want to get over you / 2000 / クロモジェニック・プリント / 185.4 × 155.3 cm
The Metropolitan Museum of Art, New York
Turner Prize受賞期に制作された抽象写真。人物や風景を直接撮る初期作品から離れ、色、光、写真化学そのものを主題にする方向を示します。題名はThe Magnetic Fieldsの楽曲に由来し、抽象的な像にも音楽や感情との接続を残しています。
ペーパー・ドロップ(ウィンドウ)
paper drop (window) / 2006 / クロモジェニック・カラー・プリント、アーティスト・フレーム / 145 × 200 cm
Städel Museum, Frankfurt am Main
一枚の紙を曲げ、その表面と影を撮影した《paper drop》シリーズの代表作。紙という具体物を写しながら、遠目には抽象的な曲線や色面に見えます。写真を載せる支持体である紙を被写体へ変え、像と物質、具象と抽象の境界を循環させています。
フライシュヴィンマー 199
Freischwimmer 199 / 2012 / クロモジェニック・プリント / 224.2 × 181 cm
The Museum of Modern Art, New York
暗室で感光紙へ直接光を作用させて制作するカメラレス抽象写真。《Freischwimmer》では線や色が水、煙、髪、身体の動きのように見えますが、具体的被写体の記録ではありません。写真を「光が感光面へ残す痕跡」という基本原理まで戻した重要なシリーズです。
アストロ・クラスト、a
astro crusto, a / 2012 / インクジェットプリント、クリップ / 349 × 230 cm
The National Museum of Art, Osaka
巨大な紙をクリップで直接壁へ留める作品。題名は宇宙的なスケールを連想させますが、Tillmansの作品では天体、物質の表面、日用品の拡大がしばしば視覚的に接近します。国立国際美術館が所蔵し、2025年《No Boundaries》でも展示された、日本でTillmansを理解する重要作です。
放送終了 I
Sendeschluss / End of Broadcast I / 2014 / インクジェット・プリント / 273.1 × 410.2 cm
The Museum of Modern Art, New York
St. Petersburgのホテルのテレビで、信号が途絶えた際のノイズを撮影し巨大化した作品。2014年のRussiaによるCrimea併合、反LGBTQ+政策、情報統制という政治状況の中で制作されました。抽象的なピクセル模様と、情報が届かない/止められるという政治的意味を重ねています。
一世代に一度の決断
A Once in a Generation Decision / 2016 / オフセット・リトグラフ / 84.1 × 59.2 cm
San Francisco Museum of Modern Art
2016年UK EU referendumでRemainを支持するために制作されたポスターの一つ。展覧会用の限定作品ではなく、印刷・共有・拡散を前提とした政治的コミュニケーションです。Tillmansが写真、文章、グラフィックデザインを公共圏で直接用いるようになった重要な展開を示します。
AIDS、喪失、共同体
《AIDS, General Idea》(1991)は、General IdeaがRobert Indianaの《LOVE》を引用して展開した「AIDS」イメージを写した小さな写真です。作品自体は10×15cmしかありませんが、Tillmansの初期展示では友人、身体、クラブ、日用品の写真と同じ空間に置かれ、AIDSが「社会問題」と「私生活」の間に存在していたことを示します。
1990年代はAIDS危機のただ中であり、クィア・コミュニティでは病と死が日常的な経験になっていました。Tillmans自身も1997年に長年のパートナーJochen KleinをAIDS関連疾患で失っています。彼の写真では病気を直接説明する作品だけでなく、友人の身体、浴室、ベッド、パーティーなど、生きていた時間そのものが後から喪失の記憶を帯びます。
ここで政治と親密さは切り離せません。性的自由、クラブ文化、LGBTQ+の権利、HIV/AIDSをめぐる社会的偏見は、同じ共同体の生活の中にあります。Tillmansが後年民主主義や人権の問題へ明確に発言するようになる背景にも、私生活が政治制度と直接つながるという経験があります。
天文学――幼少期から続く見る技術への関心
天文学はTillmansの制作で断続的に現れる重要な主題です。幼少期の望遠鏡写真から《moonrise, Puerto Rico》《Hale-Bopp》《Venus transit》《astro crusto》《Guide Star, ESO》まで、天体や観測技術を繰り返し扱っています。
《astro crusto, a》(2012)は、国立国際美術館所蔵の349×230cmの巨大なインクジェット作品です。題名は宇宙的な連想を促しますが、Tillmansの作品ではマクロな宇宙とミクロな表面がしばしば区別できません。遠い銀河のように見えるものが身近な物質であり、日用品の表面が宇宙のように見えることがあります。
重要なのは、天文学が「崇高な宇宙」のロマンティシズムだけではないことです。望遠鏡、カメラ、科学機関、デジタル画像といった観測装置を通じてしか見えない世界へ関心があります。見ることは常に技術によって媒介されています。
《Freischwimmer》――像のない写真
《Freischwimmer》シリーズでは、暗室内で感光紙へ光を当てる操作によって、細く流動する線や色面を作ります。《Freischwimmer 199》(2012)は224.2×181cmの大型クロモジェニック・プリントで、MoMAはカメラレス写真であるフォトグラムの系譜に含めています。
タイトルの「Freischwimmer」はドイツで初級水泳資格を意味し、直訳すれば「自由に泳ぐ人」です。画面上の線は水中を漂う髪、煙、インク、身体の動きなど多くのものを連想させますが、具体的な物体の記録ではありません。
Tillmansの初期写真が世界に存在するものへ直接カメラを向けていたのに対し、ここでは光と感光紙だけで像が生まれます。それでも「写真」であることをやめません。写真を被写体の記録ではなく、光が感光面へ残した痕跡として最も基本的な原理へ戻します。
《Sendeschluss》――ノイズと検閲
《Sendeschluss / End of Broadcast I》(2014)は、テレビ放送の信号が失われたときに現れるノイズを巨大化した作品です。MoMAによれば、Tillmansは2014年、Manifesta 10参加のため滞在していたSt. Petersburgのホテルでテレビ画面を撮影しました。
当時RussiaはCrimeaを併合し、Ukraine東部への軍事介入、反LGBTQ+法制、反政府抗議画像の制限などを進めていました。Tillmansは、映像が「何も映していない」テレビノイズを、国家による情報制限と結びつく像として扱いました。
273.1×410.2cmという巨大な画面へ拡大すると、テレビの細かなピクセルノイズが抽象写真のようになります。しかし完全な抽象ではありません。「映像が届かない」という具体的なメディア状況を写しているためです。写真の美しさと政治的意味が一方に回収されない作品です。
《Book for Architects》――建築を反復して見る
2014年Venice Architecture Biennaleで発表された《Book for Architects》は、約40分55秒の二画面映像作品です。その後2015年The Metropolitan Museum of Artでも展示されました。Tillmansが世界各地で撮影した建物、室内、ファサード、窓、階段、設備などが連続して投影されます。
有名建築を建築家ごとに紹介する映像ではありません。匿名の住宅、ホテル、公共施設、商業空間などが同じ流れへ置かれます。建築を「名作」の歴史としてではなく、人間が毎日身体を置く環境として見る態度は、写真におけるvisual democracyと共通しています。
写真を壁へ固定せず、二つの画面で時間的に流すことで、鑑賞者は建物を比較しながら見ることになります。都市や建築の反復が、地域ごとの違いと同時にグローバルな均質化も示します。
政治活動――EU、民主主義、LGBTQIA+の権利
Tillmansは作品の中で政治を扱うだけでなく、2010年代以降はより直接的なキャンペーンへ参加しています。2016年のUK EU referendumでは、EU残留を支持するポスターを自らデザインし、無料配布しました。SFMOMAには《A Once in a Generation Decision》《No Man Is an Island. No Country by Itself》など一連のオフセット印刷物が収蔵されています。
これらはギャラリーで高価な作品として販売するためではなく、印刷して街やSNSで共有する政治的コミュニケーションとして作られました。写真家が展示空間だけで活動するのではなく、グラフィックデザイン、文章、配布ネットワークを用いて公共圏へ介入しています。
MoMAはTillmansを、社会・政治的な問題を「増幅する」こともアーティストの役割と考える人物として紹介しています。民主主義、反人種差別、LGBTQIA+の権利は、写真とは別の付随活動ではなく、初期から続く「私生活と政治は切り離せない」という認識の延長にあります。
Between Bridges――展覧会から財団へ
2006年、TillmansはLondonで非営利の展示空間Between Bridgesを開始しました。2014年からBerlinへ移り、2017年には同名の財団を設立しました。公式サイトによれば、財団はhumanism、solidarity、democracyを掲げ、芸術、LGBTQIA+の権利、反人種差別活動を支援しています。
2020年のCOVID-19危機では《2020Solidarity》を組織し、Nan Goldin、Andreas Gursky、Thomas Ruff、Thomas Struth、Carrie Mae Weemsなど50人以上の作家からポスターを集め、困難に直面する文化施設や独立スペースのクラウドファンディング支援へ提供しました。
ここでも展覧会空間と社会活動は分離されません。どの作家へ場所を提供し、どの組織を支援し、どの情報を循環させるかは、写真の展示で画像を配置する行為と似た編集的な実践でもあります。
音楽――写真の外にある時間を扱う
音楽はTillmansの生活と制作に初期から深く関わっています。クラブ文化を撮影するだけでなく、自身も音楽制作を行い、2010年代以降はEPやアルバムを発表しました。2025年Centre Pompidou展でも写真、映像、テキストとともに音が展示の重要な要素になりました。
写真は基本的に時間を停止しますが、音楽には開始と終了があり、身体を時間の中へ置きます。Tillmansの壁面展示でも、鑑賞者は一定の順路で写真を見るのではなく、近づいたり戻ったりしながら時間を作ります。音楽と展示は異なる媒体ですが、固定された一方向の読み方を避ける点で共通しています。
初期のクラブ写真に「音が聞こえそうな感覚」があるのは、写真家が外からイベントを記録したのではなく、音響と身体が作る空間の内部にいたためでもあります。写真、音楽、共同体はTillmansの制作で継続的に交差しています。
スケール――小さなプリントと巨大画像
Tillmansの展示では、10×15cmほどの小さな写真から、3~4mを超える巨大プリントまでが混在します。《AIDS, General Idea》は小さな家庭写真に近いサイズである一方、《astro crusto, a》や《Sendeschluss / End of Broadcast I》は壁面を占有する巨大作品です。
スケールは被写体の重要度と一致しません。政治的なテーマだから大きく、日用品だから小さいというルールはありません。小さな写真ほど鑑賞者が身体を近づける必要があり、巨大写真は離れないと全体が見えません。サイズは「何を見るか」だけでなく「どの距離から見るか」を設計します。
同じ画像を別サイズでプリントすることもあり、作品の意味は固定されません。写真の内容だけでなく、紙の大きさと展示位置を通して鑑賞経験を作ることが、Tillmansの写真をインスタレーションへ近づけています。
《To look without fear》――恐れずに見る
2022年MoMAで始まった《Wolfgang Tillmans: To look without fear》は、1980年代から現在までの活動を包括的に扱う大規模回顧展でした。その後Art Gallery of Ontario、SFMOMAへ巡回し、2024年3月まで続きました。
MoMAは、クラブ写真、肖像、静物、天体、社会運動、カメラレス抽象、映像、truth study centerまで、ほぼあらゆる写真ジャンルを横断してきた作家としてTillmansを位置づけています。また、額装/非額装、壁/テーブル、写真/雑誌/映像を区別せず展示する方法を、彼の「visual democracy」の具体化として説明しています。
題名の「恐れずに見る」は、何でも無批判に受け入れるという意味ではありません。見慣れたものへ価値判断を先に下さず、異なる像を並べ、そこから自分で関係を作る態度です。視覚情報が過剰になった現在、見ることそのものを能動的な行為として再確認する展覧会でした。
2025年Centre Pompidou――図書館全体を作品空間にする
2025年6月13日から9月22日まで、Centre Pompidouは建物改修による長期閉館前最後の大規模企画として《Wolfgang Tillmans: Nothing could have prepared us – Everything could have prepared us》を開催しました。TillmansはBibliothèque publique d’informationが使用していた約6,000平方メートルの2階全体を与えられ、図書館跡をサイトスペシフィックな展示へ変えました。
Centre Pompidouによれば、展覧会は35年以上の制作を振り返りながら、写真、動画、音、テキスト、パフォーマンスを組み合わせ、図書館という「知識が分類・保存・共有される場所」そのものを問い直しました。壁の垂直面だけでなく、かつて本や資料が置かれた水平なテーブルや空間も展示構造へ利用されました。
これはTillmansの制作に非常に適した場所でした。《truth study center》が情報の信頼性を扱い、写真の壁面展示が画像同士の関係を編集してきたように、図書館も異なる情報を分類し、公共へ提供する装置です。写真展というより、見ること、読むこと、知ることの制度を一つの空間で再配置する仕事になりました。
この展覧会は、初期の若者写真から抽象、政治、音楽までを「ジャンル別」に整理しませんでした。約40年間、Tillmansが一貫して行ってきたのは、異なるものを同じ世界に存在させ、それらのあいだへ階層ではなく関係を作ることだったと理解できます。
Wolfgang Tillmansは何を変えたのか
第一に、写真展示の形式を根本的に変えました。大小のプリント、雑誌ページ、コピー、額装作品を壁へ自由に配置し、展覧会ごとに新しい関係を作りました。写真を一枚ずつ鑑賞するだけでなく、壁全体を一つの編集空間として読む方法を広く定着させました。
第二に、私生活と政治を分離しませんでした。友人、恋人、クラブ、裸の身体を撮ることは、単なる個人的日記ではなく、ジェンダー、性、共同体、AIDS、自由をめぐる社会条件と結びついています。後年のEUキャンペーンや民主主義支援も、この認識の延長にあります。
第三に、写真の価値体系を平らにしました。人物、静物、空、ゴミ、天体、政治資料、抽象像を同じ展示へ置き、「重要な主題」と「些細な主題」の区別を揺らしました。このvisual democracyは、題材だけでなく、小さな安価なプリントと大型額装作品を同じ空間へ置く方法にも及びます。
第四に、具象写真と抽象写真を一つの実践へ統合しました。カメラで人物を撮る仕事と、暗室で光を直接印画紙へ作用させる《Freischwimmer》を別ジャンルにせず、どちらも「光によって像が生まれる」写真として扱いました。
第五に、写真を印刷・複製・配布の問題へ広げました。コピー機、ファクス、雑誌、インクジェット、ポスター、テレビ画面、デジタル映像を用い、画像がどの媒体を通じて流通するかを制作の一部にしました。写真の意味は元画像だけでなく、どこに、どのサイズで、何と並んで現れるかによって変わります。
第六に、見ることを社会的行為として捉えました。《truth study center》では情報をどう信じるか、EUキャンペーンでは画像と文字がどう公共へ届くか、Centre Pompidou展では知識がどう配置されるかを扱っています。写真を見ることは個人的な美的経験であると同時に、政治や制度の中に位置する行為です。
Tillmansの作品が30年以上にわたり影響を持ち続けるのは、一つの特徴的なスタイルを作ったからではありません。むしろ、スタイルを固定せず、人物、抽象、科学、音、政治を行き来しながら、「いま世界をどう見ればよいか」という問いを更新し続けてきたからです。画像が無数に流通し、写真と生成画像の境界まで揺らぐ現在、彼の仕事は写真の定義よりも、画像へ注意を向ける態度そのものを考えさせます。
略年譜
- 1968
- ドイツのRemscheidに生まれる。
- 1978頃
- 父親のカメラを望遠鏡へ当て、月や天体を撮影。幼少期から天文学と画像技術に関心を持つ。
- 1980年代半ば
- コピー機を使った画像拡大・変形を実験し、Remscheidで初期展示を行う。
- 1988頃
- HamburgやLondonの若者・クラブ文化を撮影し、英国雑誌i-Dとの関係を開始。
- 1990–1992
- Bournemouth and Poole College of Art and Designで学ぶ。
- 1990
- 《me in the shower》など、自身と身近な人々の生活を撮影。
- 1991
- 《AIDS, General Idea》《domestic scene, Remscheid》などを制作。
- 1992
- 《Lutz & Alex sitting in the trees》を制作。i-Dの「like brother like sister」特集などを通じ広く知られる。
- 1993
- 《Suzanne & Lutz, white dress, army skirt》など、ジェンダーと若者文化をめぐる代表作を制作。
- 1995
- 天体、都市、人物、日用品を横断する制作を拡張。《moonrise, Puerto Rico》《Smokin’ Jo》などを制作。
- 1997
- London周辺で離着陸するConcordeを数週間撮影し、56点組《Concorde Grid》を制作。パートナーJochen KleinをAIDS関連疾患で失う。
- 1998
- 暗室事故や化学反応を意識的に利用する抽象写真の探究を拡大。
- 2000
- Turner Prize受賞。最初の写真家かつ最初の非英国人受賞者となる。《I don’t want to get over you》《Star Struck》など抽象作品も展開。
- 2002–2003
- 《Freischwimmer》《Blushes》などカメラレスの抽象写真を本格化。
- 2004
- 《Venus transit》など天体・観測に関する作品を制作。
- 2005
- 新聞、広告、宗教・科学・政治資料をテーブル上で比較する《truth study center》を開始。
- 2006
- Londonで非営利展示スペースBetween Bridgesを開始。《paper drop》シリーズを展開。
- 2009
- HIV/AIDS教育団体への支援を含む社会的活動を継続しながら、写真・映像・出版を横断。
- 2010–2012
- 《Tukan》《astro crusto》《Freischwimmer 199》など、巨大インクジェットと暗室抽象を並行して制作。
- 2014
- Venice Architecture Biennaleで《Book for Architects》。Manifesta 10参加時にSt. Petersburgで《Sendeschluss / End of Broadcast》を制作。Between BridgesをBerlinで再開。
- 2015
- Hasselblad Foundation International Award in Photography受賞。The Metで《Book for Architects》展示。国立国際美術館で日本初の大規模個展《Your Body is Yours》。
- 2016
- UKのEU referendumを前にRemain支持のポスター・キャンペーンを制作し無料配布。
- 2017
- Tate Modernで大規模個展《Wolfgang Tillmans: 2017》。Between Bridges Foundation設立。
- 2018–2020
- 大規模巡回展《Fragile》がKinshasaを起点にアフリカ各都市を巡回。2020年にはBetween Bridgesが《2020Solidarity》を展開。
- 2021–2022
- mumok, Viennaで《Sound is Liquid》。写真に加え音、映像、音楽を横断する活動を展開。
- 2022–2024
- MoMAを起点に《Wolfgang Tillmans: To look without fear》がArt Gallery of Ontario、SFMOMAへ巡回。
- 2025
- 2月–6月、国立国際美術館《No Boundaries》に《astro crusto, a》などが出品。6月13日–9月22日、Centre Pompidouで《Nothing could have prepared us – Everything could have prepared us》。旧公共情報図書館約6,000㎡全体を用いた大規模インスタレーションを制作。
- 2026
- Between BridgesはBerlinで活動を継続し、芸術、民主主義、LGBTQIA+の権利、反人種差別活動への支援を続けている。
参考資料・出典
本ページはThe Museum of Modern Art、The Metropolitan Museum of Art、Centre Pompidou、San Francisco Museum of Modern Art、Tate、国立国際美術館、Art Platform Japan、Städel Museum、Smithsonian Institution、Between Bridges等の美術館・公的機関・公式資料を参照し、ART LIBRARYが独自に執筆しました。Tillmansを「1990年代の若者文化を撮った写真家」だけへ還元せず、コピー機、クラブ/クィア文化、展示方法、《Concorde》、Turner Prize、抽象写真、《paper drop》《truth study center》《Book for Architects》《Sendeschluss》、政治キャンペーン、Between Bridges、2025年Centre Pompidou展までを連続する制作として構成しています。原文の全文翻訳ではありません。
- The Museum of Modern Art — Wolfgang Tillmans
- MoMA — Wolfgang Tillmans: To look without fear, 2022–23
- MoMA Magazine — The Wandering Image
- SFMOMA — Wolfgang Tillmans: To look without fear, 2023–24
- SFMOMA — Artist Talk: Wolfgang Tillmans
- Centre Pompidou — Nothing could have prepared us – Everything could have prepared us, 2025
- Centre Pompidou — Suzanne & Lutz, white dress, army skirt
- The Met — Suzanne & Lutz, white dress, army skirt, 1993
- The Met — I don’t want to get over you, 2000
- The Met — Star Struck #3, 2000
- Smithsonian Institution / Hirshhorn — Concorde Grid, 1997
- Städel Museum — paper drop (window), 2006
- MoMA — Freischwimmer 199, 2012
- MoMA — Sendeschluss / End of Broadcast I, 2014
- The National Museum of Art, Osaka — No Boundaries, 2025
- Art Platform Japan — astro crusto, a, 2012
- SFMOMA — A Once in a Generation Decision, 2016
- Between Bridges — About
- Between Bridges — 2020Solidarity
資料確認日:2026年10月4日 / ART LIBRARY