オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson、1967–)は、光、水、霧、鏡、苔、氷、色、影、風といった身近な現象を使い、私たちが世界を「客観的に見ている」という思い込みを揺さぶってきたデンマーク/アイスランドの作家です。1993年《Beauty》では、暗室に噴霧した水滴へ一方向から光を当て、見る人の位置によって現れたり消えたりする虹を作りました。1997年《Yellow corridor》では単波長の黄色光によって色覚を制限し、1998年《Green river》では都市の川を一時的に蛍光緑へ変え、2003年Tate Modern《The weather project》では巨大な人工太陽と霧、鏡によって美術館全体を一つの気象空間へ変えました。こうした作品の中心にあるのは、自然を再現することではなく、「いま自分がどう見ているか」「どこに立っているか」「他者と空間をどう共有しているか」を意識させることです。
その後、エリアソンの実践は美術館内部から公共空間、建築、気候危機、再生可能エネルギー、社会的協働へと広がりました。2008年《The New York City Waterfalls》ではEast River沿いに高さ30~40mの人工滝を四基設置し、2011年《Your rainbow panorama》ではARoSの屋上へ150mの円形ガラス回廊を作りました。2012年には技術者Frederik Ottesenと太陽光ランプ《Little Sun》を開始し、2014年《Ice Watch》ではGreenlandの氷床から流出した氷塊を都市中心部へ運び、観客が触れながら融解を体験できる状況を作りました。2019年にはUNDPの気候行動・SDGs親善大使に任命され、同年の《The glacier melt series 1999/2019》では20年前と同地点から撮影したIcelandの氷河写真を対置しました。2024年《Lifeworld》では広告用巨大スクリーンを都市の現実をぼかして見返す装置へ変え、2026年《A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake》では絶滅危機を抱える湖の生態系を150以上の動物音と光へ翻訳しています。本記事では、エリアソンを「光の魔術師」や「環境問題を扱う有名作家」としてではなく、知覚・制度・都市・建築・気候・共同体の関係を、観客の身体を通して再編してきた作家として追います。
CONTENTS
- 生涯と制作の変遷
- DenmarkとIceland――二つの風景
- Royal Danish Academy――1989–95
- Studio Olafur Eliasson――個人作家から研究組織へ
- 知覚――「見る人」が作品を完成させる
- 《Beauty》――虹はどこにあるのか
- 《Moss wall》――自然は展示室で自然のままか
- 《Yellow corridor》――色覚を身体で知る
- 《Green river》――川を一瞬で見直す
- 《The weather project》――Turbine Hallを太陽へ
- 鏡――自分と他者を同じ空間へ置く
- 《Model room》――形態研究と共同制作
- 公共空間――作品を見る人から都市の利用者へ
- 《The New York City Waterfalls》
- 《Your rainbow panorama》
- 建築――FjordenhusとStudio Other Spaces
- Little Sun――作品は社会的インフラになれるか
- 気候危機――表象から身体的経験へ
- 《Ice Watch》――氷を都市へ運ぶ
- 《Riverbed》――美術館に地形をつくる
- 《The glacier melt series 1999/2019》
- 《Green light》――難民危機と共同制作
- Fjordenhus――建築そのものを作品化する
- 《Lifeworld》――広告スクリーンをぼかす
- Olafur Eliassonの作品をどう見るか
- 主要作品
- 《Beauty》――一人ひとり違う虹
- 《Moss wall》――匂いと乾燥を含む壁
- 《Green river》――現実を色で再認識する
- 《The weather project》――人工太陽と群衆
- 《The New York City Waterfalls》――人工自然と都市
- 《Your uncertain shadow (colour)》――身体が色を作る
- 《Your rainbow panorama》――都市を色で歩く
- 《Little Sun》――美術と社会事業
- 《Riverbed》――歩き方を変える美術館
- 《Ice Watch》――消える彫刻
- 《The glacier melt series 1999/2019》――20年を一枚に置く
- 2026年Great Salt Lake――人間以外の声を聞く
- 身体――見る、歩く、触る、影になる
- 民主主義――共にいることをどう設計するか
- 自然/人工という二分を崩す
- 気候アートの矛盾――輸送・規模・炭素
- 巨大スタジオと作者性
- 建築と公共性――誰のための空間か
- 2024–25年《OPEN》と《Lifeworld》
- 2026年現在――Your curious journeyと新作
- Olafur Eliassonは何を変えたのか
- よくある単純化と読み直し
- 略年譜
- 参考資料・出典
生涯と制作の変遷
Olafur Eliassonは1967年、Copenhagenに生まれ、DenmarkとIcelandの双方で育ちました。1989年から1995年までRoyal Danish Academy of Fine Artsで学び、卒業した1995年にBerlinへ移住してStudio Olafur Eliassonを設立しました。公式略歴によれば、現在のスタジオには職人、建築家、アーキビスト、研究者、管理スタッフ、料理人、プログラマー、美術史家、専門技術者など多様な職種が参加しています。作品は一人の手から生まれるというより、知覚、幾何学、工学、建築、気候、社会制度を横断する共同研究の結果として作られています。
1990年代初頭から水、光、霧、苔などを使い、《Beauty》(1993)、《Moss wall》(1994)、《Your strange certainty still kept》(1996)、《Yellow corridor》(1997)、《Ventilator》(1997)などを発表しました。この時期から一貫しているのは、自然現象を「再現」するより、その現象を成立させる装置を隠さず見せることです。ポンプ、ホース、ファン、照明器具、ワイヤーが露出し、観客は虹や霧の美しさと同時に、それが人工的に作られていることを知ります。
2003年にはVenice BiennaleでDenmarkを代表し、同年Tate ModernのTurbine Hallで《The weather project》を発表。巨大な半円形スクリーンと約200本の単波長灯、鏡天井、人工霧を使った作品は200万人以上を集め、Eliassonの国際的な位置を決定的にしました。2007年にはKjetil ThorsenとSerpentine Pavilionを設計、2008年New Yorkで四基の人工滝、2011年ARoSの《Your rainbow panorama》、2015年Copenhagenの《Cirkelbroen》、2018年Vejleの《Fjordenhus》と、建築・都市規模へ実践を広げます。
2010年代には知覚研究と気候行動がより明確に結びつきました。2012年《Little Sun》、2014年《Riverbed》《Ice Watch》、2016年《Green light》、2019年《The glacier melt series 1999/2019》《The presence of absence pavilion》など、環境・エネルギー・移民・共同体へ作品が介入します。2024年MOCA Los Angeles《OPEN》では十数点の新規サイトスペシフィック作品によって美術館建築とLos Angelesの光を扱い、同年《Lifeworld》ではLondon、Seoul、Berlin、New Yorkの広告スクリーンを作品へ転用。2025–26年にはアジア太平洋を巡回する《Your curious journey》がSingapore、Auckland、Taipei、Jakartaを経てManilaへ到達し、2026年にはGreat Salt Lakeの生態系を音と光で扱う新作を発表しています。
DenmarkとIceland――二つの風景
Eliassonの作品ではIcelandの氷河、火山、水、苔が頻繁に現れますが、それを「北欧の自然を作品化する作家」とだけ説明するのは不十分です。彼はDenmarkの都市文化とIcelandの地形の双方で育ち、自然と人工を対立させるより、どちらも人間の知覚と社会制度を通じて理解される環境として扱っています。
1999年にIceland各地の氷河を撮影し、20年後に同じ地点へ戻った《The glacier melt series 1999/2019》は、その関係を最も直接的に示します。氷河は壮大な自然風景であると同時に、写真撮影、道路、測量、気候科学、政治によって「見える」対象です。Eliassonは自然を人間の外部に置かず、観測・記録・責任のネットワークの中へ戻します。
Royal Danish Academy――1989–95
1989年から1995年までRoyal Danish Academy of Fine Artsで学んだ時期、Eliassonは絵画や彫刻の伝統的媒体より、空間と知覚の関係へ関心を深めました。1990年代初頭の作品には、鏡、窓、光、投影、水など、観客の動きによって状態が変わる装置が多く現れます。
この時代には1960~70年代のMinimalism、Light and Space、Conceptual Art、Land Artがすでに美術史化されていました。EliassonはJames TurrellやRobert Irwinの知覚的環境、Dan Grahamの鏡、Hans Haackeのシステム的思考を直接繰り返すのではなく、自然現象、都市、社会的参加をより明示的に混ぜる方向へ進みました。
作品を完成物として提示するより、「現実がどう作られているか」を体験させることが初期から中心でした。後に彼が作品を“devices for the experience of reality”と表現する態度は、この時期にすでに形成されています。
Studio Olafur Eliasson――個人作家から研究組織へ
1995年Berlinに設立されたStudio Olafur Eliassonは、現在では通常の画家のアトリエを大きく超える組織です。公式略歴は、職人、建築家、アーカイブ担当、研究者、プログラマー、美術史家、料理人、技術者などの参加を明記しています。
巨大な公共作品や建築、複雑な光学装置は、一人の作家が単独で制作できるものではありません。Eliassonはアイデアを出す「作者」であると同時に、異分野の知識を組み合わせる編集者・ディレクターとして働きます。《Model room》はこのスタジオ文化を可視化する作品で、Einar Thorsteinnとの幾何学研究から生まれた多数の模型が研究室のように並びます。
一方、最終的な作品はOlafur Eliasson名義で流通します。大規模スタジオの共同制作と、個人名による作者性の集中は現代美術の重要な矛盾です。作品が「共同性」を掲げるほど、誰の労働と知識がどのように可視化されるかを考える必要があります。
知覚――「見る人」が作品を完成させる
Eliassonにとって観客は完成後に作品を消費する人ではありません。位置、動き、視線、影、身体によって作品の現れ方を変える共同制作者です。《Beauty》の虹は見る角度によって現れ、《Your uncertain shadow》の色影は観客が入らなければ存在しません。
この考えは「参加型」という言葉より深いものです。ボタンを押したり作品を触ったりしなくても、見ること自体が能動的な行為であると示します。色、奥行き、明るさ、虹は外界に固定して存在するのではなく、光の条件と身体の位置との関係から生まれます。
作品は現象を見せるだけでなく「自分が見ていることを感じる」状態を作ります。そこからEliassonの有名な言い回しである“seeing yourself seeing”へつながります。
《Beauty》――虹はどこにあるのか
1993年《Beauty》では暗い空間に細かな水滴を噴霧し、スポットライトを当てます。光が水滴で屈折・反射すると虹が現れますが、虹は空間の中に固定した物体として存在しません。観客が光源と霧に対して特定の位置へ立ったときだけ見えます。
二人の観客が隣に立てば、それぞれが見ている虹の光学条件は微妙に異なります。公式作品解説が「no two viewers see the same rainbow」と説明する通り、作品は客観的な一つの像を持ちません。
自然現象の美しさを美術館へ持ち込んだ作品ですが、ポンプ、ホース、ノズル、スポットライトを隠しません。自然と人工を対立させず、「自然らしさ」自体が装置と知覚から生まれることを示します。
《Moss wall》――自然は展示室で自然のままか
《Moss wall》(1994)は北方地域に生育するreindeer moss、実際には地衣類をワイヤーメッシュへ織り込み、巨大な壁面へ取り付ける作品です。乾燥すると縮んで色が薄くなり、水を与えると膨らみ、色と匂いが戻ります。
一見すると「自然を美術館へ持ち込む」作品ですが、苔は木製下地とワイヤーで人工的に固定され、展示担当者によって維持されます。自然は制度の外にある純粋物ではなく、管理と展示のシステムに組み込まれています。
視覚だけでなく匂いと湿度を含むため、美術館が通常想定する無臭で清潔なwhite cubeも変化します。壁を見るのではなく、空間全体の空気を身体で感じる作品です。
《Yellow corridor》――色覚を身体で知る
《Yellow corridor》(1997)は単波長の黄色光で廊下全体を照らします。人間の色覚は広い可視光スペクトルの比較によって色を区別しますが、ほぼ単一波長だけになると、周囲が黄色と黒の強い世界へ縮減します。
空間を出ると一時的に青みを帯びた補色残像が現れることがあります。つまり作品は黄色い廊下だけで終わらず、観客の網膜が次の空間へ持ち越す生理反応まで含みます。
色を物体に属する固定属性ではなく、光源、視覚器官、時間の関係として経験させる点が重要です。
《Green river》――川を一瞬で見直す
1998年から2001年にかけて、Eliassonは水流調査にも使われる非毒性のuranineを都市や自然の河川へ投入し、水を鮮やかな緑へ変えました。Bremen、Moss、Iceland、Los Angeles、Stockholm、Tokyoなどで行われています。
川は日常風景に溶け込み、多くの人が意識せず通り過ぎます。しかし色が異常に変わると、水の流れ、速度、護岸、都市との関係が突然見えるようになります。Eliassonは色で「別の川」を作るのではなく、もともと存在していた川へ注意を戻しました。
この作品は後に環境活動団体が川を緑へ染める行為とも重なりますが、作家はArgentine artist Nicolás García Uriburuが1968年VeniceのGrand Canalを緑へ染めた先行例を、最初の《Green river》後に知ったと公式サイトで明記しています。歴史的先行関係を神話化せず、後から認識した点も重要です。
《The weather project》――Turbine Hallを太陽へ
2003年Tate Modern Turbine Hallの《The weather project》はEliassonの代表作です。壁に半円形スクリーンを設け、約200本の単波長灯で背面から照らし、天井一面に巨大な鏡を吊るしました。半円と鏡像が一つの完全な太陽に見え、人工霧が空間を満たしました。
観客は床に寝転び、鏡天井へ自分たちの姿を見上げ、手足で文字や図形を作りました。作品の強度は「巨大な太陽」の視覚効果だけでなく、Turbine Hallに一時的な公共広場を生み出した点にあります。美術館の来場者が作品を静かに鑑賞するのではなく、同じ気象条件の下で群衆として滞在しました。
しかも装置は隠されていません。上階からは鏡の裏側や照明構造が見え、人工太陽であることを理解できます。仕組みを知っても体験が弱まらないことがEliassonの重要な方法です。
鏡――自分と他者を同じ空間へ置く
鏡はEliassonの作品で長く使われています。鏡は空間を倍増させ、視線を折り返し、観客自身を作品へ入れます。単なるselfie装置ではなく、「自分が見る主体であり、同時に他者から見られる身体でもある」ことを意識させます。
《The weather project》の鏡天井では、何百人もの身体が一つの巨大な像へ集約されました。個人の知覚を扱いながら、必ず他者も視野へ入る構造です。
Eliassonが知覚と民主主義を結びつけるのはこの点です。世界は一つの客観的視点から見えるのではなく、多数の位置から異なる像として経験される。鏡や色フィルターはその複数性を身体的に理解させます。
《Model room》――形態研究と共同制作
《Model room》(2003)は、1996年から長期協働したIcelandic mathematician / architect Einar Thorsteinnとの模型、試作、幾何学研究を大量に並べる作品です。木、紙、金属、混合素材からなる数百の模型は、完成作品の縮小模型というより、形を考える思考の痕跡です。
多面体、螺旋、非直交構造などの研究は照明器具、ファサード、橋、建築へ展開しました。完成作品を天才的ひらめきの結果として見せず、試作、失敗、変形、共同研究を展示する点が重要です。
Studio Olafur Eliassonが「制作工房」であると同時に実験室であることを最も明快に見せる作品です。
公共空間――作品を見る人から都市の利用者へ
2000年代以降、Eliassonは美術館外の公共空間へ大きく展開しました。《The New York City Waterfalls》《Your rainbow panorama》《Cirkelbroen》などでは、観客はチケットを買って作品を見る人ではなく、通勤、散歩、観光、移動の途中で作品を経験する都市利用者になります。
公共作品は不特定多数へ開かれる一方、都市計画、行政、スポンサー、観光、メンテナンスと結びつきます。Eliassonはその制度条件を否定せず、作品の一部として引き受けています。
都市の流れを少し遅くし、いつもの水辺や眺望を別の仕方で見直すことが、公共作品の共通した目的です。
《The New York City Waterfalls》
2008年Public Art FundとNew York Cityによって実現した《The New York City Waterfalls》は、East River沿いの四地点に高さ30~40mの人工滝を設置した巨大公共作品です。足場、ポンプ、配管、フィルター、LED、電気制御を露出した構造から川の水を上へ汲み上げ、再び川へ落としました。
自然の滝を都市へ「再現」したのではなく、New Yorkの建設足場そのものを骨格に使い、人工的に水循環を作っていることを明示しました。水辺を自然/都市の境界としてではなく、産業・歴史・生態系・観光が絡む公共空間として見直します。
一方、巨大なインフラを一時的芸術のために作ることにはエネルギー・環境負荷の問題があります。Public Art Fundは再生可能電力や魚類保護フィルター、足場再利用を実施しましたが、規模の大きさそのものがEliassonの気候実践を考える際の重要な矛盾でもあります。
《Your rainbow panorama》
2011年ARoS Aarhus Art Museum屋上に完成した《Your rainbow panorama》は、直径52m、全長150m、幅3mの円形ガラス回廊です。虹色のガラスを通してAarhusの街と湾を360度見渡しながら歩きます。
観客が移動すると街の色が連続的に変わり、同じ場所でも赤、黄、青のガラス越しに全く違って見えます。風景を「作品」に置き換えるのではなく、都市そのものを色フィルターによって再認識させます。
美術館建築の屋上へ恒久的な歩行経路を加えたことで、作品はARoSの象徴的ランドマークになりました。その成功は公共美術と観光ブランディングの結びつきも示しています。
建築――FjordenhusとStudio Other Spaces
Eliassonの空間研究は建築へ直接広がりました。2007年にはSnøhettaのKjetil ThorsenとSerpentine Pavilionを設計し、140mの螺旋状ランプによって人の動きそのものから建築形態を作りました。
2018年完成のFjordenhusは、EliassonとSebastian BehmannがStudio Olafur Eliassonと共に設計した最初の建築です。Vejle Fjordの水上に高さ28mの四本の交差円筒を立て、楕円形の切り欠き、曲面レンガ、螺旋階段、家具、照明、サイトスペシフィック作品を統合しました。
その後、BehmannとStudio Other Spacesを設立し、アートと建築の境界をさらに広げています。Eliassonにとって建築は作品を置く容器ではなく、身体の動き、視線、気候、社会的出会いを設計する媒体です。
Little Sun――作品は社会的インフラになれるか
2012年、Eliassonとengineer Frederik Ottesenは太陽光LEDランプ《Little Sun》を共同開発しました。高品質polycarbonate、solar panel、LED、充電池からなる小型ランプで、電力網へアクセスできない地域でkerosene灯に代わる安全な照明を提供する目的を持ちます。
Little Sunは美術作品、製品、社会事業の三つを同時に名乗ります。電化地域での販売がoff-grid地域での手頃な価格販売を支える仕組みを作り、現地entrepreneurの事業支援も行いました。2024年にはZambiaでCommunity Energy Hubを開始しています。
ここでは美術館での象徴的な環境意識から、実際のエネルギー・アクセスへ踏み出しています。一方、社会的問題を有名アーティストのデザインが「解決する」という語りにならないよう、地域の利用者、流通、現地事業者との関係を含めて評価する必要があります。
気候危機――表象から身体的経験へ
Eliassonの気候作品に共通するのは、数値やグラフを説明するより、変化を身体に近づけることです。《Ice Watch》では氷河を触り、《The glacier melt series》では20年の差を見比べ、《Little Sun》ではエネルギーを手の中の装置として使います。
気候危機は規模が大きすぎ、日常感覚では実感しにくい問題です。Eliassonはその「距離」を縮め、抽象的なppm、気温上昇、海面変化を、氷の冷たさ、写真の差、光の有無へ翻訳します。
ただし感情を動かすことと政治的・経済的な解決は同じではありません。作品は行動を促す契機にはなっても、政策そのものではないという限界を自覚して見る必要があります。
《Ice Watch》――氷を都市へ運ぶ
《Ice Watch》はGreenlandのNuup Kangerlua fjordへ流出した氷床由来の氷塊12個を回収し、時計状に都市中心部へ配置する作品です。2014年Copenhagen、2015年COP21開催時のParis、2018年Londonで実施されました。
観客は氷に触れ、耳を当て、抱きつき、時間とともに小さくなる様子を見ます。気候危機を遠い北極のニュースから、自分の手の温度で溶ける物質へ変えました。
一方、Greenlandから巨大氷塊を都市へ運ぶこと自体に輸送エネルギーが必要です。この矛盾は作品への典型的な批判となりました。Eliasson側は意識喚起の効果と輸送負荷の計測・削減を重視しますが、気候アートが環境負荷から完全に自由になることはありません。
《Riverbed》――美術館に地形をつくる
2014年Louisiana Museum of Modern Artの《Riverbed》では、South Wingの床一面を石、砂、砂利で覆い、細い水流が展示室を蛇行しました。観客は通常の平坦な床を失い、自分で足場を選びながら上流へ歩きます。
「自然を美術館へ持ち込んだ」と見るだけでは足りません。川床は完全に人工的に建設され、ポンプと冷却装置で水を循環しています。自然/人工ではなく、美術館の建築ルールを別の地形ルールへ置き換える作品です。
Louisianaは、作品が観客の歩き方と、美術館が通常どのような行動を誘導しているかを問い直すものだと説明しています。展示室は作品を眺める場所から、身体で交渉するterrainへ変わります。
《The glacier melt series 1999/2019》
1999年、EliassonはIcelandの数十の氷河を空中・地上から撮影しました。20年後の2019年、可能な限り同じ位置へ戻り再撮影し、30組の写真を並べた《The glacier melt series 1999/2019》を制作しました。
作品の強さは、派手な演出がほとんどないことです。同じ谷、同じ山、同じ画角の中で氷だけが大きく後退し、気候変動が風景の差として可視化されます。
写真は客観的証拠のように見えますが、撮影地点の再特定、天候、画角、時間の選択が必要です。科学記録と美術写真の間を行き来しながら、「変化を見る」能力と責任を観客へ返します。
《Green light》――難民危機と共同制作
《Green light – An artistic workshop》(2016)はTBA21と共同で、難民、庇護申請者、移民、学生、一般来場者が緑色LEDランプのモジュールを組み立てるworkshopとして始まりました。言語講座、seminar、film、performanceなども含み、2017年Venice Biennaleへ展開しました。
作品は参加者を「難民問題の象徴」として展示するのではなく、実際に同じテーブルで作業する状況を作ることを目指しました。Eliassonはこれをwelcomingの行為と説明しています。
ただし美術制度が社会的弱者の存在を文化資本へ変換する危険もあります。参加型作品を倫理的に評価する際には、「参加した」という事実だけでなく、誰が条件を設定し、誰が利益を得るのかを検討する必要があります。
Fjordenhus――建築そのものを作品化する
2009–18年に設計されたFjordenhusはVejle Fjordから直接立ち上がる28mの建築です。四つの交差円筒から楕円形の空洞を切り抜き、レンガの曲面、アーチ窓、螺旋階段、円形家具、照明を一体化しました。
一階は一般公開され、水面が建築内部へ入り込み、Eliassonの複数のサイトスペシフィック作品が設置されています。上階はKIRK KAPITALのofficeであり、完全な公共建築ではありません。
作品と建築の境界が消える一方、公共性と企業空間が同居します。Eliassonの「社会的な空間」という理念が、実際の所有・アクセス条件の中でどのように機能するかを考える好例です。
《Lifeworld》――広告スクリーンをぼかす
2024年《Lifeworld》はCIRCAのcommissionとしてLondon Piccadilly Lights、Seoul K-Pop Square、Berlin、New York Times Squareなどの大型広告スクリーンへ展開されました。各都市の周囲を撮影し、時間的・空間的なblur処理を加えた柔らかな映像を、通常は鮮明な広告が流れる画面へ表示しました。
都市の巨大screenは注意を奪い、商品を明確に認識させるための装置です。Eliassonはそこへ判別しにくい現在の風景を流し、広告の速度から一瞬外れる時間を作ります。
初期《Beauty》が霧の中の虹で「見ること」を意識させたのに対し、30年後の《Lifeworld》はデジタル都市インフラそのものを知覚装置へ変えています。
Olafur Eliassonの作品をどう見るか
第一に、「きれい」「没入できる」で終わらず、現象を作っている装置を見てください。ホース、ポンプ、鏡、照明、足場が見えることには意味があります。第二に、自分の位置を変えます。虹、影、鏡像、色は移動によって変化します。
第三に、周囲の人を見ます。Eliasson作品では他者の影、身体、滞在が作品の一部です。第四に、自然現象を「本物の自然」と誤解しないことです。美術館内の川も霧も人工的に作られています。その人工性を隠さないことが作品の核心です。
第五に、気候作品ではメッセージだけでなく実際の物流・エネルギー・制度も考えます。《Ice Watch》の輸送、《Waterfalls》のポンプ、《Little Sun》の流通など、環境を語る作品自身も社会的・物質的システムの中にあります。
主要作品
1993年《Beauty》の位置によって現れる虹から、《Moss wall》《Green river》《The weather project》、New Yorkの人工滝、身体が色を作る《Your uncertain shadow》、ARoSの《Your rainbow panorama》、太陽光lamp《Little Sun》、美術館を地形へ変える《Riverbed》、Greenlandの氷を都市へ運ぶ《Ice Watch》、20年の氷河後退を比較する写真シリーズ、そして2026年Great Salt Lakeの音響・光作品まで、Olafur Eliassonが知覚実験を公共・社会・気候の領域へ広げた12点を選びました。
ビューティー
Beauty / 1993 / スポットライト、水、ノズル、ホース、アルミニウム、ポンプ / 寸法可変
公式作品記録参照
暗室に噴霧した水滴へ光を当て、観客の位置によって虹を発生させる初期代表作。虹は空間に固定されず、見る人ごとに異なる条件で現れるため、観客自身が作品の共同制作者になるというEliassonの基本思想を明快に示します。
モス・ウォール
Moss wall / 1994 / reindeer moss(Cladonia rangiferina)、木、ワイヤー / 寸法可変
公式作品記録参照
北方地域の地衣類をワイヤーメッシュへ織り込んだ巨大壁。乾燥すると縮み、水を与えると膨らんで色と匂いが戻るため、視覚だけでなく湿度・時間・管理を作品へ組み込み、自然/人工の境界を揺らします。
グリーン・リバー
Green river / 1998–2001 / uranine、水 / サイトスペシフィック/河川規模による
一時的公共介入/公式作品記録参照
水流調査に使われる非毒性染料で都市・自然の河川を一時的に蛍光緑へ変えた作品。見慣れた水の流れを異化し、普段は背景化している川、都市、水循環を突然意識させました。Tokyoを含む複数都市で実施されています。
ザ・ウェザー・プロジェクト
The weather project / 2003 / 単波長灯、投影用フォイル、霧発生装置、ミラーフォイル、アルミニウム、足場 / Tate Modern Turbine Hallのサイトスペシフィック・インスタレーション
Tate Modern commission/一時的インスタレーション
半円形スクリーン、鏡天井、人工霧、約200本の単波長灯によって巨大な人工太陽を作った代表作。観客が床に滞在し、鏡へ群衆の姿を映すことで、美術館を一時的な公共広場へ変えました。
ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ
The New York City Waterfalls / 2008 / 水、足場、鋼製構造、ポンプ、配管、フィルター、LED、電気・制御設備ほか / 4基/高さ約30–40 m
Public Art Fund / City of New York commission
East River沿い4地点に高さ30~40mの人工滝を設置した巨大公共作品。足場やポンプを露出し、人工自然であることを隠さず、New York waterfrontの産業・生態・歴史・公共性を再認識させました。
あなたの不確かな影(カラー)
Your uncertain shadow (colour) / 2010 / HMIランプ(緑・橙・青・マゼンタ)、ガラス、アルミニウム、変圧器 / 寸法可変
公式作品記録参照
五色の光源を白壁へ向け、観客の身体が光を遮ることで複数色の影を生む作品。影を『光がない場所』から色彩現象へ変え、身体・加法混色・他者との重なりを同時に体験させます。
あなたのレインボー・パノラマ
Your rainbow panorama / 2011 / 色ガラス、鋼、歩行回廊 / 全長150 m、幅3 m、直径52 m
ARoS Aarhus Art Museum, Denmark
ARoS屋上を一周する虹色の円形ガラス回廊。歩行に応じてAarhusの都市景観が連続的に別の色へ変わり、風景を固定された眺望ではなく身体の移動による知覚経験へ変えます。
リトル・サン
Little Sun / 2012 / 高品質polycarbonate、太陽光パネル、LED、充電池 / 携帯型solar lamp/製品仕様参照
Little Sun / Studio Olafur Eliasson
engineer Frederik Ottesenと共同開発した太陽光LED lamp。作品、製品、社会事業を横断し、off-grid地域で安全な照明とenergy accessを提供する実用システムへ美術実践を拡張しました。
リバーベッド
Riverbed / 2014 / 水、Iceland産を含む火山石・各種石、砂利、砂、木、鋼、plastic sheeting、ホース、ポンプ、冷却装置 / Louisiana Museum South Wing全体/寸法可変
Louisiana Museum of Modern Art commission/一時的インスタレーション
美術館の白い展示室を石と水流からなる人工の川床へ変えたサイトスペシフィック作品。観客は平坦な美術館床を失い、自分で足場と経路を選ぶことで、作品を見る身体と美術館制度の行動規範を意識します。
アイス・ウォッチ
Ice Watch / 2014–2018 / Greenland ice sheet由来の氷塊12個 / 12個の氷塊/各回の自然形状による
Copenhagen / Paris / Londonで実施した一時的公共作品
Greenlandのfjordへ流出した氷塊12個を都市中心部へ運び、観客が触れながら融解を見届ける気候作品。地球温暖化を遠い数値ではなく、冷たさ、音、消失の時間として身体へ近づけました。
溶ける氷河のシリーズ 1999/2019
The glacier melt series 1999/2019 / 2019 / 30組のC-print / 全体 約226.6 × 478 cm
公式作品記録参照
1999年に撮影したIcelandの氷河を20年後の2019年にほぼ同地点から再撮影し、30組として対置した作品。派手な演出を使わず、風景の差そのものを気候危機の視覚的証拠へ変えています。
グレート・ソルト・レイクのための消えゆく音のシンフォニー
A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake / 2026 / 球形投影スクリーン、光投影、Lewis Roberts(Koreless)との音響作品 / 公共空間のサイトスペシフィック・インスタレーション/公式作品記録参照
Memory Grove, Salt Lake City/一時的公共作品
Great Salt Lakeの生態系に依存する鳥、両生類、昆虫、哺乳類など150以上のフィールド録音を音楽へ再構成し、大型球体への光投影と組み合わせた2026年の公共作品。気候危機を人間以外の声を『聞く』問題へ広げています。
《Beauty》――一人ひとり違う虹
《Beauty》(1993)は暗室、霧、スポットライトという非常に少ない要素から成り立ちます。水滴へ光が入り、観客の眼へ特定角度で届いたときだけ虹が現れるため、作品の「像」は空間に固定されていません。写真では一つの虹として記録されますが、現地では歩くたびに強度・位置・幅が変わります。
ここでEliassonが早くから示したのは、観客を作品の外部に置かない姿勢です。虹は作家が完成させたイメージではなく、装置と身体が出会うたび発生する現象です。美術史的にはLight and Spaceの知覚研究を継承しつつ、自然現象の親しみやすさによってより広い観客へ開いた重要作といえます。
同時にポンプとノズルを隠さないことで、驚異と説明可能性を両立させています。仕組みを理解しても虹を見る喜びは消えない。この「脱魔術化しても体験は残る」という構造が、その後の代表作にも続きます。
《Moss wall》――匂いと乾燥を含む壁
《Moss wall》(1994)はreindeer mossを木枠とワイヤーへ固定した巨大壁です。乾けば縮んで薄い色になり、水分を得れば膨らみ、香りが強くなります。作品は視覚的な緑の壁ではなく、展示期間中に状態を変える生物由来素材の時間を含みます。
美術館へ自然素材を持ち込む行為はArte PoveraやLand Artにも前例がありますが、Eliassonは「自然の断片を展示する」こと以上に、white cubeが素材をどのように管理・演出するかに関心を向けます。美術館の湿度管理と作品維持が、自然/人工という二分の曖昧さを露出させます。
2026年の《Your curious journey》Manilaでも展示されており、30年以上前の初期作が現在の巡回展でなお中核に置かれていることから、Eliassonの基本問題が早期に確立していたことが分かります。
《Green river》――現実を色で再認識する
《Green river》ではuranineという水溶性染料によって河川を一時的に強い緑へ変えました。色は流れに従って拡散し、やがて見えなくなります。彫刻的な物体を置かず、既存の都市インフラと水流へ最小限の介入を加えただけです。
その効果は強烈です。普段見慣れた川が異様な色になると、人は水の存在、護岸、流速、街との距離を意識します。作品は風景を美しくするのではなく、慣れによって不可視になっていた現実を一時的に「異化」します。
一方、公共空間へ事前説明なしに介入した場合、人々が汚染や事故を疑う可能性もあります。作品の意図と公共の安全認識の境界は、今日ならより厳しく検討されるでしょう。Eliassonの公共作品が後年、大規模な行政・技術協議を伴うようになったこととも対照的です。
《The weather project》――人工太陽と群衆
《The weather project》(2003)はTate Modern Turbine Hallの巨大空間を、霧と黄色光に満たしました。約200本の単波長灯により色覚がほぼ黄・黒へ制限され、観客の身体は黒いシルエットになります。天井の鏡は群衆を倍増させ、自分たちが作品の景色になっていることを示しました。
この作品は巨大な「太陽」のイメージで語られがちですが、社会的な滞在の設計が同じくらい重要です。観客は床へ寝転び、長時間会話し、鏡へ向けて身体で文字を作り、美術館の通過動線を公共広場へ変えました。
Eliassonは準備段階でTate職員へ天候に関する質問票を配布し、weatherが個人的気分から政治・労働・都市生活まで影響する社会的条件であることを展覧会へ組み込みました。人工太陽は自然の模倣だけでなく、天候を共有する共同体の模型でした。
《The New York City Waterfalls》――人工自然と都市
《The New York City Waterfalls》(2008)はBrooklyn Bridge、Brooklyn Piers、Pier 35、Governors Islandの四地点に設置されました。足場構造の頂部までEast Riverの水をポンプで上げ、30~40m落下させる単純な仕組みですが、都市景観のスケールを大きく変えました。
滝は「自然の力」を象徴する一方、その裏側には配管、電気、filter、construction scaffoldingが露出しています。人工自然であることを完全に見せたまま、観客はそれを滝として経験します。ここでも自然/人工の境界は視覚上も制度上も混ざります。
公共作品として約200人のdesign・engineering・construction specialistsが関与したことも重要です。個人作家の作品名の下に大規模な専門労働が組織されるモデルは、Eliassonの後期作品を特徴づけます。
《Your uncertain shadow (colour)》――身体が色を作る
《Your uncertain shadow (colour)》(2010)は異なる色の五つの光源を白壁へ向け、観客が光を遮ることで複数色の影を作る作品です。誰もいないと壁はほぼ白く照らされていますが、身体が入ると黄色、紫、cyan、magentaなどの影が分離します。
影は通常「光がない場所」と考えられますが、ここでは別の光が残ることで色を持ちます。身体が色彩理論を実演する装置になり、加法混色を教科書ではなく移動で理解します。
複数の観客が入れば影が重なり、相手の身体が自分の色を変えます。知覚研究が社会関係の比喩へ広がる、Eliassonらしい作品です。
《Your rainbow panorama》――都市を色で歩く
ARoSの《Your rainbow panorama》(2011)は、幅3m・全長150mの円形回廊を歩く恒久作品です。色ガラスは虹のスペクトルに沿って連続し、観客は一周する間に都市景観を異なる色域で経験します。
作品は屋上のオブジェとして遠くからも目立ち、Aarhusの都市アイコンとなりました。これは作品が美術館のブランドや観光経済へ組み込まれた例でもあります。成功した公共美術は都市のidentityを強める一方、作品自体が文化的マーケティング装置として機能する可能性があります。
それでも現地体験では、都市を「一枚の眺望」として所有するより、歩行によって色と距離が絶えず変わります。ランドマーク化と身体的知覚実験が同時に成立している点が重要です。
《Little Sun》――美術と社会事業
《Little Sun》(2012)は黄色い太陽形の小型solar LED lampです。最初のdesignはEthiopiaの利用者との対話を通じ、meskel flowerを参照して形成されました。美術館で展示されるだけでなく、夜間照明を必要とする地域で実用品として使われることを前提にしています。
ここでEliassonは、美術作品の社会的効果を「意識を高める」だけでなく、電力を実際に供給する物へ変えました。Little Sunは社会事業として現地雇用や流通を作り、2024年にはCommunity Energy Hubへ発展しています。
一方、アートと開発援助を組み合わせる際には、Global Northの著名作家がGlobal Southの課題を解決するという一方向的な物語を避ける必要があります。Little Sunの評価では、共同設計、現地entrepreneurship、長期運用まで見ることが不可欠です。
《Riverbed》――歩き方を変える美術館
《Riverbed》(2014)はLouisiana MuseumのSouth Wingをほぼ全面的に石と水で覆いました。白い壁は残りますが床は消え、観客は大小の石の上を慎重に歩かなければなりません。
美術館は通常、作品へ安全に近づける滑らかな床と明確な順路を提供します。《Riverbed》では観客が歩く場所を自分で選び、他者と譲り合い、足元を見ます。その結果、作品を見るための制度的動作そのものが意識されます。
自然地形に見えても、Icelandic stones、gravel、sand、wood、steel、plastic sheeting、hose、pumps、cooling unitで精密に作られています。構築された自然をあえて露出させ、美術館と風景が同じ設計行為だと示します。
《Ice Watch》――消える彫刻
《Ice Watch》(2014–18)は12個の氷塊を時計文字盤のように置き、数日から数週間かけて溶かす作品です。氷はGreenland ice sheetから直接切り出したのではなく、氷床から自然に分離してfjordへ流出したものを回収しました。
氷を触ると内部から小さな気泡が弾け、長い地質時間を閉じ込めた物質が目の前で水へ戻ります。温暖化を「未来の危機」ではなく、現在進行形の消失として身体化します。
しかしこの強い象徴性は、輸送の炭素排出という逆説を伴います。気候問題を可視化するために気候負荷を生むことは、気候アート全般の難題です。作品の有効性を判断するには、体験の影響だけでなく制作・輸送・展示の総体を見る必要があります。
《The glacier melt series 1999/2019》――20年を一枚に置く
《The glacier melt series 1999/2019》は30組、計60枚のC-printから成ります。1999年と2019年の同地点写真を一対にすることで、氷河の後退が視覚的な「差分」として現れます。
《Ice Watch》のような劇的な身体体験とは対照的に、ここでは観客は静かに比較することを求められます。画像間の空白に20年の時間が圧縮され、風景写真が気候記録へ変わります。
美術と科学的evidenceの境界に位置する作品ですが、データを客観的事実として提示するだけではありません。見比べた観客が喪失を感情として受け取ることまで含め、知識と感覚を接続しています。
2026年Great Salt Lake――人間以外の声を聞く
2026年3月26日から4月4日、Salt Lake CityのMemory Groveで《A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake》が開催されました。大きな球体へ色光を投影し、音楽producer Korelessと共同制作したsound compositionを流す夜間公共作品です。
音源にはGreat Salt Lakeの健全性に依存する鳥類、両生類、昆虫、哺乳類など150以上のfield recordingsが使われました。野生の音をそのまま「自然音」として再生するのではなく、人間が聞き取りやすいrhythmへ再構成しています。
この翻訳には倫理的な問題もあります。非人間の声を人間の芸術へ編曲することは、他種の存在を再び人間中心の経験へ回収する可能性があります。しかし作品は、その翻訳行為を通じて湖が渡り鳥を含む大陸規模の生命ネットワークに関係することを公共空間で可聴化しました。
2026年のEliassonが、氷や光だけでなく「聞くこと」とmultispecies relationへ関心を広げていることを示す重要な新作です。
身体――見る、歩く、触る、影になる
Eliasson作品では身体が測定器の役割を果たします。虹を見る位置、色の残像、石の上を歩く足、氷に触れる手、鏡に映る身体、影の重なりによって環境の性質を知ります。
この方法はVRのように別世界へ没入させることと異なります。むしろ現実の床、空気、光、他者へ注意を戻します。作品の装置が単純に見えるほど、自分の感覚が複雑な処理をしていることが分かります。
Eliassonが“your”を作品名に多用するのも偶然ではありません。《Your rainbow panorama》《Your uncertain shadow》など、作品の所有を意味するというより、「あなたの身体がなければこの現象は成立しない」と示しています。
民主主義――共にいることをどう設計するか
Eliassonは知覚の複数性を政治的な問題へ接続します。一人ひとりの位置が違えば同じ虹も違って見える。その事実は、「唯一正しい視点」を疑い、他者の位置を想像する訓練になり得ます。
《The weather project》の群衆、《The parliament of reality》(2006–09)の円形会議空間、《Green light》の共同workshop、《Cirkelbroen》のzigzagする歩行経路などは、他者と場所を共有することを作品の形式へします。
ただし、美術館で多様な視点を体験することが実際の民主政治を直接改善するわけではありません。「参加」「共同体」という言葉を善として自動的に評価せず、誰が参加でき、誰が設計権限を持つのかを見る必要があります。
自然/人工という二分を崩す
霧、滝、苔、川床、氷、虹などEliasson作品は自然現象に見えます。しかし装置はほぼ必ず露出しています。このため観客は「本物の自然」と「偽物の自然」を簡単に区別できません。
《Riverbed》の人工地形が自然らしく感じられる一方、都市の実際の川も護岸、ダム、排水、管理によって人工的に形成されています。《Green river》は普段「自然な水」と思っていた都市河川がすでに社会システムの中にあることを示します。
近年の環境思想で使われるnature-cultureの絡み合いを、Eliassonは理論用語より早く知覚経験として提示してきました。
気候アートの矛盾――輸送・規模・炭素
Eliassonほど気候危機を前面に出す国際作家には、作品自身の環境負荷への批判が必然的に向けられます。大型巡回展、巨大公共作品、氷塊輸送、国際的なスタジオ活動には資源と移動が必要です。
Tate Modern《In real life》ではwaterfallのcarbon footprintが資料として公開され、MOCA《OPEN》でも展覧会排出量の計測・削減が明記されました。これは「環境負荷がない」ことの証明ではなく、制作条件を可視化しようとする制度的試みです。
気候アートを倫理的に純粋な行為として評価すると、少しでも排出があれば偽善という結論になります。しかし文化活動全体が物質・移動を伴う以上、より重要なのは排出量を計測し、削減し、作品の社会的効果との関係を公開して検討できるかです。
Eliassonの実践はこの問題を解決したわけではありませんが、巨大スペクタクルと気候行動の矛盾を現代美術制度へ突きつけた代表例です。
巨大スタジオと作者性
Studio Olafur Eliassonは数十人規模の専門家を抱える研究組織として知られます。光学、建築、模型、software、fabrication、出版、料理まで多分野の知識が作品へ入ります。
このモデルはRenaissance workshopや建築事務所にも似ていますが、現代美術市場では作品が一人のアーティスト名へ帰属するため、共同制作の可視性には限界があります。《Model room》のような作品はEinar Thorsteinnとの協働を明示しますが、すべてのプロジェクトで同程度に個々の協力者が知られるわけではありません。
一方でEliassonはstudioを「知識を一緒に作る場」として公開し、SOE Kitchenや研究・教育プログラムも展開してきました。個人作者性を完全に捨てず、共同知とブランド化された作家名が共存することが現代的大規模制作の特徴です。
建築と公共性――誰のための空間か
《Your rainbow panorama》《Cirkelbroen》《Fjordenhus》では、作品が建築・都市インフラへ近づきます。人々の歩行を変えるという意味では非常に公共的ですが、建設資金、所有、管理、アクセスはそれぞれ異なります。
《Cirkelbroen》は歩行者・自転車利用者が無料で使う都市橋ですが、《Fjordenhus》上階は企業officeです。《Your rainbow panorama》は公共的ランドマークでも、美術館入館を前提とします。「public」という言葉を一括して使えません。
Eliassonの建築を評価する際には、美しい空間体験だけでなく、その空間へ誰が入り、誰が維持し、誰の都市ブランドを強めるのかを見る必要があります。
2024–25年《OPEN》と《Lifeworld》
2024年9月から2025年7月までMOCA Los Angelesで開催された《OPEN》は、Los Angelesでは初の大規模個展でした。The Geffen Contemporaryの建築とLAの大気条件へ反応する十数点のsite-specific optical devicesを新たに制作し、光、色、幾何学、身体を再検討しました。
同時期の《Lifeworld》は、museumではなく広告screenへ介入しました。片方は美術館建築内部の物質・非物質条件を開き、片方は都市のcommercial image infrastructureを一時的にぼかす。
1990年代から続く知覚研究が、2020年代には「どのplatformが私たちの注意を組織しているか」という問題へ拡張していることが分かります。
2026年現在――Your curious journeyと新作
2026年10月現在、Studio Olafur Eliassonの現行展覧会には、ManilaのMuseum of Contemporary Art and Designで7月9日から11月15日まで開催中の《Your curious journey》が含まれます。Singapore、Auckland、Taipei、Jakartaを巡ったアジア太平洋ツアーの最終会場です。
展覧会には《Beauty》《Yellow corridor》《Moss wall》《Ventilator》《The glacier melt series 1999/2019》など1990年代から2019年までの重要作が含まれ、30年以上の制作を「知覚・身体・気候」という三つの連続した問題として見せています。
同年3~4月にはGreat Salt Lake新作、5月にはSwitzerlandで《The shadows of sounds and the unforeseeable shapes of love》、秋にはTokyoのUeshima Museumを含む複数のgroup exhibitionへ参加しています。80年代的な回顧期へ入るのではなく、光・音・生態系・公共空間の新作を継続しています。
2026年現在のEliassonは、気候活動家としての知名度と巨大スタジオの制度力を持つ一方、初期《Beauty》のような単純な問い――「見るとは何か」――を新しい技術と社会条件へ何度も置き直す段階にあります。
Olafur Eliassonは何を変えたのか
第一に、観客を作品の「受け手」から物理的な共同制作者へ変えました。虹、影、色、鏡像は観客の位置と身体がなければ成立せず、知覚そのものが素材になりました。
第二に、自然現象を人工的に再構成しながら、その人工性を隠さない方法を定着させました。ポンプやホースを露出したまま滝や霧を作ることで、自然/人工という近代的な二分を体験として崩しました。
第三に、インスタレーションを社会的な滞在空間へ拡張しました。《The weather project》では美術館の床が広場になり、《Your rainbow panorama》や《Cirkelbroen》では作品が都市の歩行そのものへ入り込みました。
第四に、知覚芸術と気候行動を接続しました。《Ice Watch》《glacier melt series》《Little Sun》によって、環境問題を情報ではなく身体的・日常的経験へ翻訳し、現代美術におけるclimate artの中心的モデルを作りました。
第五に、作家のスタジオを単なる制作場所から横断的な研究組織へ変えました。幾何学、建築、engineering、software、social businessを一つの美術実践へ組み込み、現在の大型studio practiceの代表的形態を示しました。
そして最も重要なのは、Eliassonが「現実を別のイメージへ置き換える」のではなく、現実を経験している自分自身の条件をずらしたことです。川の色、空間の黄色、都市の虹、溶ける氷、他人の影によって、観客は作品を見ると同時に「自分がいまどう世界を作っているか」を見る。知覚を個人的な感覚から社会的・政治的・環境的な責任へ広げたことが、彼の最大の影響です。
よくある単純化と読み直し
第一の単純化は、「光を使った没入型アートの作家」という理解です。光は重要ですが、水、石、苔、氷、橋、建築、social business、音まで実践は広く、没入そのものを目的にしていません。
第二は、「自然を美術館へ持ち込む作家」という理解です。作品の自然現象は多くが人工的に構築され、その装置を見せることで自然/人工の境界を問い直します。
第三は、「気候活動家になってから政治的になった」という見方です。《Green river》《The weather project》など初期から公共空間、共同体、制度への関心はあり、気候問題はその知覚研究が社会規模へ広がったものです。
第四は、「体験型だから理論が不要」という理解です。作品は直感的に楽しめますが、その背後には色彩理論、光学、幾何学、都市制度、エネルギー、気候科学があり、体験と研究は対立していません。
第五は、「環境を語る作家だから制作も環境的に完全である」という期待です。巨大公共作品や巡回展は資源を使います。Eliassonの重要性は矛盾がないことではなく、その矛盾を計測・議論の対象へしようとしてきた点にもあります。
第六は、「Olafur Eliasson一人がすべてを作る」という作家像です。現在の作品は大規模な共同研究・制作組織によって成立しており、個人名と集団知の関係を含めて評価する必要があります。
略年譜
- 1967
- 2月5日、Copenhagenに生まれる。DenmarkとIcelandの双方で育つ。
- 1989–1995
- Royal Danish Academy of Fine Artsで学ぶ。光、空間、鏡、身体、知覚への関心を深める。
- 1993
- 《Beauty》をCopenhagenのgarage exhibitionで初展示。霧と光による虹が観客の位置によって現れるという、後の「観客が作品を共同制作する」考えを早くも示す。
- 1994
- 《Moss wall》《Moss room》制作。視覚だけでなく匂い、湿度、乾燥、管理を展示空間へ導入。
- 1995
- Royal Danish Academy卒業後Berlinへ移住し、Studio Olafur Eliassonを設立。
- 1996
- 《Your strange certainty still kept》制作。落下する水へstrobe lightを当て、時間と運動の知覚を操作。Einar Thorsteinnとの長期的幾何学研究もこの頃から始まる。
- 1997
- 《Yellow corridor》《Ventilator》制作。monofrequency light、風、身体の移動による知覚変化を本格化。
- 1998–2001
- 《Green river》をIceland、Bremen、Moss、Los Angeles、Stockholm、Tokyoなどで実施。都市・自然の川を蛍光緑へ一時的に変え、公共空間への介入を拡張。
- 1999
- Iceland各地のglacierを撮影し《The glacier series》を制作。20年後の再撮影へつながる。
- 2003
- 50th Venice BiennaleでDenmarkを代表。同年Tate Modern Turbine Hallで《The weather project》を発表。《Model room》も作品化され、Einar Thorsteinnとの模型・幾何学研究を公開。
- 2005–2006
- 美術館・公共空間で知覚、鏡、色、幾何学を扱う大型作品を国際的に展開。Bard Collegeでは《The parliament of reality》の建設が始まる。
- 2007
- Kjetil ThorsenとSerpentine Gallery Pavilionを設計。140mの螺旋状rampsを通じ、建築と観客の運動を一体化。
- 2008
- Public Art FundとNew York Cityによる《The New York City Waterfalls》。East River沿い四地点へ高さ30~40mの人工滝を設置。
- 2009
- Bard Collegeの《The parliament of reality》完成。公共空間と共同体、対話、民主主義への関心を建築的に展開。
- 2010
- 《Your uncertain shadow》シリーズ制作。複数色の光源と観客の身体によって色影を発生させる。
- 2011
- ARoS Aarhus Art Museum屋上に《Your rainbow panorama》完成。全長150m、直径52mの円形ガラス回廊が都市のランドマークとなる。Harpa Reykjavik Concert Hallのfacade projectにも参加。
- 2012
- engineer Frederik Ottesenと《Little Sun》を開始。太陽光LED lampを美術、design、社会事業、energy accessの領域へ展開。
- 2014
- Louisiana Museumで《Riverbed》。同年geologist Minik RosingとCopenhagenで最初の《Ice Watch》を実施し、Greenlandの氷を都市中心部へ配置。
- 2015
- COP21開催時のParisで《Ice Watch》。CopenhagenのChristianshavns Kanalに歩行者・自転車橋《Cirkelbroen》開通。
- 2016
- TBA21 Viennaで《Green light – An artistic workshop》。難民、移民、学生、一般来場者がgreen LED lamp modulesを共同制作。翌年Venice Biennaleへ展開。
- 2018
- Londonで三回目の《Ice Watch》。VejleでSebastian BehmannとStudio Olafur Eliassonによる建築《Fjordenhus》完成。
- 2019
- Tate Modernで大規模回顧展《In real life》。20年前と同地点から再撮影した《The glacier melt series 1999/2019》、氷の消失跡をbronzeで鋳造した《The presence of absence pavilion》を発表。9月、UNDP Goodwill Ambassador for climate action and the SDGsに就任。
- 2020
- 《In real life》がGuggenheim Bilbaoへ巡回。Museum of Contemporary Art Tokyoで《Sometimes the river is the bridge》開催。
- 2021–2023
- 建築、公共空間、光学、気候作品を継続。Studio Other Spacesによる建築実践も拡大。
- 2024
- CIRCA commission《Lifeworld》をLondon、Seoul、Berlin、New Yorkの巨大広告screenとonlineで展開。9月、MOCA Los Angelesでsite-specific新作を中心とする《OPEN》開幕。Little SunはZambiaでCommunity Energy Hubを開始。
- 2025
- アジア太平洋巡回展《Your curious journey》がTaipei、Jakartaなどへ展開。《The glacier melt series 1999/2019》など気候・知覚の主要作品を再提示。
- 2026
- 3月26日–4月4日Salt Lake Cityで《A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake》。150以上の動物field recordingsとlight projectionで湖の生態系を扱う。7月9日–11月15日、MCAD Manilaで《Your curious journey》最終巡回地。Studio公式情報ではManila展を含む複数の個展・project・group exhibitionが進行中。
参考資料・出典
本ページはStudio Olafur Eliasson、Tate、Louisiana Museum of Modern Art、Public Art Fund、ARoS Aarhus Art Museum、MOCA Los Angeles、Museum of Contemporary Art and Design Manila、Serpentine Galleries、United Nations Development Programme、Little Sun等の公式資料を中心に参照し、ART LIBRARYが独自に構成・執筆しました。Eliassonの作品を「自然現象を美術館へ持ち込む没入型アート」と単純化せず、自然/人工、知覚/制度、個人/共同体、美術/社会事業の境界を意図的に揺らす実践として整理しています。気候作品については環境メッセージだけでなく、巨大作品・巡回展・氷輸送が持つ物質的・炭素的負荷との矛盾も批評節へ含めました。またStudio Olafur Eliassonの共同制作体制について、公式略歴が多職種の巨大チームを明記していることを踏まえ、個人作者名と集団的知識生産の関係を扱っています。2026年については、3–4月の《A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake》、7–11月のMCAD Manila《Your curious journey》、Studio公式の2026年活動一覧まで反映しています。
- Studio Olafur Eliasson — Biography
- Studio Olafur Eliasson — Exhibitions 2026
- Studio Olafur Eliasson — Current News
- Studio Olafur Eliasson — Beauty, 1993
- Studio Olafur Eliasson — Moss wall, 1994
- Studio Olafur Eliasson — Your strange certainty still kept, 1996
- Studio Olafur Eliasson — Yellow corridor, 1997
- Studio Olafur Eliasson — Ventilator, 1997
- Studio Olafur Eliasson — Green river, 1998
- Studio Olafur Eliasson — The weather project, 2003
- Studio Olafur Eliasson — Model room, 2003
- Public Art Fund — The New York City Waterfalls, 2008
- Studio Olafur Eliasson — The New York City Waterfalls, 2008
- Studio Olafur Eliasson — Your uncertain shadow (colour), 2010
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- Louisiana Museum of Modern Art — Riverbed
- Studio Olafur Eliasson — Riverbed, 2014
- Studio Olafur Eliasson — Ice Watch, 2014
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- Studio Olafur Eliasson — Green light, 2016
- Studio Olafur Eliasson — Fjordenhus, 2009–2018
- Studio Olafur Eliasson — The glacier melt series 1999/2019
- Studio Olafur Eliasson — The presence of absence pavilion, 2019
- United Nations Development Programme — Olafur Eliasson
- MOCA Los Angeles — Olafur Eliasson: OPEN, 2024–2025
- Studio Olafur Eliasson — Lifeworld, 2024
- Studio Olafur Eliasson — A symphony of disappearing sounds for the Great Salt Lake, 2026
- MCAD Manila — Olafur Eliasson: Your curious journey, 2026
資料確認日:2026年10月4日 / ART LIBRARY